朱子学は陽明学を学ぼうとするときよく出てくる考え方です。
学校で習ったはずですが、こちらもわからなくなったので調べて簡単にまとめました。
朱子学
朱子学(しゅしがく)は、中国の宋代に朱熹(しゅき、1130-1200)によって体系化された儒学の一派です。朱子学は、理論的に体系化された儒学として、東アジアにおける学問と思想に大きな影響を与えました。
朱子学の基本概念
理気二元論(りきにげんろん)
- 朱子学では、宇宙の本質を「理」と「気」という二つの要素で説明します。「理」は普遍的で不変の原理・法則を指し、「気」は物質的・具体的な現象や変化を指します。全ての物事は「理」と「気」によって構成されていると考えられます。
性即理(せいそくり)
- 人間の本性(性)は理に基づいているとする考え方です。人間の本性は本来善であり、理を理解し実践することで徳を高めることができるとされます。
格物致知(かくぶつちち)
- 物事の理を探究し、知識を深めることを意味します。朱子学では、具体的な事物の理を研究し、それを通じて普遍的な理を理解することが重要とされます。
居敬持志(きょけいじし)
- 心を静かにし、敬虔な態度で理を探求することを意味します。これは、修身(自己修養)の一環として重視されます。
朱子学の歴史と影響
中国
- 朱熹の死後、朱子学は南宋、元、明、清といった各王朝で官学として採用されました。特に、明代と清代には科挙(官吏登用試験)の基礎として重視され、知識人層に広く浸透しました。
日本
- 朱子学は鎌倉時代から室町時代にかけて日本に伝わり、江戸時代には幕府によって公式に採用されました。特に、徳川家康の時代に林羅山(はやしらざん)やその子孫たちが朱子学を広めました。
- 朱子学は武士の道徳規範や教育体系の基盤となり、多くの藩校で教えられました。また、社会全体の倫理観や家族制度に影響を与えました。
韓国
- 朝鮮半島では、李氏朝鮮時代に朱子学が国家の公式な学問として採用されました。朱子学は、朝鮮の社会制度、法律、教育などに深い影響を与え、現在もその影響が残っています。
朱子学と他の学派との関係
陽明学との対立
- 朱子学が理論と知識の探究を重視するのに対し、陽明学は実践と行動を重視します。陽明学の創始者である王陽明は、朱子学の「知行分離」に対して「知行合一」を唱えました。この対立は、明代の中国や江戸時代の日本における思想的な論争となりました。
道教や仏教との融合
- 朱子学は、道教や仏教の思想とも影響を受けており、特に朱熹自身が仏教的な修養法を取り入れたことが知られています。朱子学は、儒教の枠を超えて広範な哲学体系を形成しました。
朱子学は、理論的な深さと実践的な教えを兼ね備えた学問体系として、東アジアの文化や社会に多大な影響を与え続けています。
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